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最後の恋に花束を
第7章 大学二年の夏

色っぽい彼の表情が視界に入った瞬間…

ブーッ ブーッ

誰かのスマホが鳴り響いた。
その音に驚いた私は、バッと彼から身体を離し背を向けた。遙は音のする方へ視線を向けると、潜っていた布団から出る。


『 おい、電話、ヒロ 』


音の犯人はヒロのスマホだったようで、遙は彼のベッドへと近付くとヒロの身体を揺さぶった。


『 おい … ヒロくーん 』


遙がそう言って身体を揺さぶっていると、ヒロが目を覚ました。


『 ん… なに… うわっ電話じゃん 』


彼はスマホを手にして驚いた顔を見せた後、慌てて寝室を飛び出す。そのまま外に出たのか、玄関の扉が閉まる音が聞こえた。


『 … なんだあいつ。』


遙がそう呟いたかと思うと、ギシッとベッドが軋む音が響く。マットレスは揺れ、私の被っている負担がガサガサと動いた。

私は背中を向けたまま寝たふりをしていたが、腰にスルリと滑り込んできた彼の腕にピクリと身体が反応する。


「 っ…ちょ、ハルくんっ… 」

『 んー… なに 』


囁くような声が耳元で聞こえ、首をすくめる。
彼の身体は私にピタッと密着していて、私の鼓動は一気に早くなる。


「 今日は… ダメ… 」

『 … 今日は、 … なんだ? 』


私の言葉に、クスッと笑いを溢すと共に彼の身体が離れる。温もりが無くなった背中を見るように私は寝返りを打つと、彼の方を見る。早くなった鼓動は、彼の温もりと共に遠ざかっていた。


「 … おやすみ 」

『 おやすみ 』


小さく声を掛けると、彼の口から返答が来る。
彼のまぶたが開く事はなかった。

少ししてスヤスヤと寝息をたてる彼。私は、瞼を閉じゆっくりと夢の世界へと堕ちていった …ー

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