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最後の恋に花束を
第8章 大学最後の冬
あまりに堂々とする彼。
きっと私が何も知らないと思っているからだろう。
「 あの、サキから聞いたんですけど… 」
いざ本題に入ろうと思ったところで、言葉に詰まる。
どんな言葉で伝えたらいいのか…
口を噤んで、考える。
『 … カナちゃん全然減ってないよ、俺の奢りだからもっと飲みなよ 』
彼が言うその言葉に視線をグラスに移すと、彼のグラスも彼女のグラスもほぼ空になっていた。
「 えっ、はやくないですか? 」
その早さに思わず笑いが込み上げてくる。
サキもお酒が大好きなのを思い出した。
『 ほらほら、飲んでのんで 』
そう言いながら彼は私にグラスを押し付けた。
競争心が生まれてしまった私は、苦笑いしながらグラスを持つとグラスの半分ほど一気に飲み干した。
『 おお〜いい飲みっぷり!』
『 可奈ちゃん、あんまり無理しないでね… 』
「 んっ、大丈夫大丈夫っ 」
妹のような彼女に笑顔を向ける。
彼女に心配はかけられない。
『 じゃあ話せるようになるまで、ゲームしよう!』
「 ゲーム?」
『 そっ。このゲーム。負けたら罰ゲームで 』
そう言いながらスマホを開く彼。画面には、タップのみの簡単な操作できるような単純なゲームが映っていた。
彼は焼酎を瓶で頼むと、楽しそうに口を開いた。
『 負けた人は、一気飲みね 』
「 … 本当ですか? 」
『 おー、お酒好きなんだよね? 』
「 好きですけど焼酎は… 」
『 よし、じゃあ始めるよ 』
苦手です、と伝えようと思った所で彼が再び口を開く。まるで私の言葉を遮断するかの様に。
そして、ゲームが始まった。
簡単なゲーム。
されど、ゲーム。
一番最初に負けたのは、サキだった。