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最後の恋に花束を
第2章 高校一年の夏

その日は夕方に学校を出ると、いつも通りのバスに乗り駅へ向かった。写真展の会場までは駅から徒歩5分ほどで、駅に着いてからはすぐに会場まで到着した。

会場に着くと、歩いている間に吹き出た汗を拭き、静かな澄んだ空気へと一歩を踏み入れる。時間帯もあってか、疎らに人がいるだけだった。


一番最初に飾られている写真から一つずつ目を向ける。


どれもこれも、素敵な作品ばかりで、まさに絵になる写真ばかりだ。


そして、写真展の終盤に差し掛かる頃。

私は目を奪われた。


その作品は、私の通っている学校の前の桜並木を撮影したものだった。題名は " 出会いと別れ " 。 きっと今年の春、桜が満開の頃に撮影したものだろう。桜並木の片隅に少しだけ見える校舎があった。


撮影者は … " 青山 遙 "


この作品を見た瞬間、引きこまれた。
誰かが映るわけでもないこの作品に。私は引き込まれ立ち止まった。


( … 美しい… )


この作品は、ただその一言だった。

風に舞う桜の花びらさえも写すその技術は、底知れぬものだと。


気づけば私は鳥肌を立てたまま、その写真の前に突っ立っていた。


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