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最後の恋に花束を
第2章 高校一年の夏

夏休みが終わる頃の部活帰り、駅で青山遙に会った。
写真展のことなんか忘れているかのような彼は、夏休み何してたの?なんて質問を投げかけてきた。


『 てか、なんでお前制服なの?』


そう言う彼は私服だった。髪は茶髪に染められている。彼の作品を見てから毎日のようにあの写真を思い出していた私。それを撮ったのがこんなに呑気な人だなんて、と少し自分の心が痛む。


「 部活、部活の帰りだよ 」


遊び呆けている彼の姿に少しだけ苛立ちを感じた私は、墨で汚れた掌を彼に差し出した。これを見よ、と言わんばかりに。


『 何、意外と手ちっさいのな 』

「 …はぁ? 」

『 レディがそんな口聞いたら駄目だろ〜?』


予想外の返答に、思わず口走った言葉を注意される。そんな小さなことでも、遙に対する怒りに変わってしまった。差し出した手はいつの間にか、握り拳に変わって私の体の横で我慢耐えていた。


「 いいよね、青山くんは 」


彼女もいて、勉強もできて、あんな写真が撮れて、友達が多くて、いつも笑顔で。

そんな言葉が私の頭の中を飛び交って行く。けれど言葉には出来ない。なぜだか、遙を傷付ける気がして。グッと飲み込む。


『 何、ヤキモチ? 』

「 ちっ… ちがう!」

『 ふぅん…? 』


そのやり取りの瞬間。


『 じゃあ、見せてよ 』


その言葉と同時に、握り拳になっていた私の手が、彼の温もりのある大きな手に包まれる感覚がした…ー

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