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最後の恋に花束を
第3章 高校二年の秋
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一年生が入部したての頃。
『 あの人は部員ですか?』と、よく顔を出す遙のことを不思議に思い質問してきたのが彼、ユウ君だった。
『 何しに来てるんですか?』 なんて事も私に質問されたが、私も彼の考えることはよく分からなかったので、本人に聞いてみて?とだけ返事をしたのを覚えている。
『 先輩!俺、言いましたよね?!』
「 ははっ、私は気付かなかったや… 」
苦笑いで彼にそう言葉を返す。以前彼に、あの先輩はイッチー先輩目当てでここに来てます!なんて堂々と言われるものだから、今日は姿を隠してみた。
冬の書道展覧会の締め切りが近づいているため集中できる場所の確保も必要だから、という意図もあった。
私自身は、彼が書道を見ることを目的として来ていると思っていたので、まさか私がいないとすぐに帰ってしまうなんて思いもしなかったが、ユウ君の予想は的中してしまった。
『 ま、今日は皆さん、集中して書きましょう 』
先生から仕切り直しの言葉が出ると、ハイ、と部員が声を揃えて返事をする。声を荒げていたユウ君も大人しく筆を持つ。
「 先生、私 今季の作品は一昨日提出したものでいいですか?」
『 あぁ、あれで大丈夫。よく書けていたよ 』
「 ありがとうございます。… と。それと… 」
展覧会の締切日までは、部活のある日以外でここを使わせてください、と先生に頼んだ。私がいると遙が稀に来てはみんなの集中力を奪っていく…と、部員に対する罪悪感が少しあったからだ。
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