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最後の恋に花束を
第3章 高校二年の秋
『 … イ、 … センパイ 』
「 … ん 」
仮眠を取ろうと思い横になってから、何分経っただろうか。誰かが私を呼ぶ声が聞こえて、うっすらと瞼を開けた。窓の外はもう暗くなっているのがわかった。
『 先輩、どんだけ寝てるんですか 』
視界に入ったのは、ユウだった。どうやら私を呼ぶ声の主は彼のようだ。
「 … あ、ごめんごめん、睡眠不足で… 」
『 ほら、起きて帰りますよ。』
「 あっ、片付けしないと… 」
『 もう俺がやっときましたから。』
その言葉に驚いて時計を見ると、部活終了時間から30分過ぎていた。
「 うわぁ…ごめんねぇ、いま着替えるから… 」
慌ててハンガーにかけてある制服を手に取る。その様子を見たユウは、準備室から出る。私は急いで制服に着替えると、荷物を持って準備室から出た。
『 イッチー先輩、閉めますよー 』
「 はーい、今行きます〜 」
彼は書道室のドアを開けて待っていた。その他には書道室の鍵も握られている。私は駆け足で彼の元まで行き部屋から出ると、ユウがドアと鍵を閉めた。
『 先輩、写真部の方も忙しいんじゃないですか 』
「 んー… まあね。家で作業する事が多くて… 」
『 あんまり無理しないでくださいよ 』
歩きながら職員室へ向かう。後輩に心配されるなんて情けないなぁと思いながらも、ありがとう、と一言返しておいた。