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最後の恋に花束を
第4章 高校三年の春
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それから一時間半後。時計の針は午後8時を指している。私は人通りの多い駅前の公園のベンチにひとり、腰掛けていた。
数時間前の出来事。
私の気持ちの弱さで起きた出来事。
私は望んでいなかった、出来事。
「 はぁっ… 」
思い出して深い溜息をついて俯いた。
まるで、この先真っ暗のような感覚に陥っていた。
( 明日婦人科に…行って…薬をもらうしか… )
私が、彼と付き合うことを拒めば…
私が、彼の家に行くことを拒めば…
こんな事にはならなかった。
自分の気持ちの緩さに、苛立ちを感じて足先に転がっていた小石を蹴飛ばす。
『 お嬢さん、ひとり?』
突然に、通りがかりの人に声を掛けられる。
「 はぁ?」
声を掛けられた事なんてちっぽけに感じた私は、顔を上げないまま返事をする。声の主の足元が視界に入った。
『 レディがそんな言葉使ったらダメだろ 』
「 … うるさいなっ 」
苛立っていた私を更に苛立たせるその言葉に、思わず顔を上げる。そこには、会いたかった…いや、会いたくはなかった… 彼の姿があった。
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