この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
最後の恋に花束を
第7章 大学二年の夏
先程までテレビ画面に流れていた番組が終わり、別のトーク番組が始まる頃、ソファの前のテーブルには空き缶が四本並んでいた。一本だけと言いつつも、私たちは二本ずつ飲んでしまった。
『 今日おれ、面白い写真撮ったんだよねー 』
私と彼の間の空間を埋めるように、私の真横に座り直す彼。頬を赤く染め舌ったらずな喋り方で、酔っ払っているのが分かった。
「 んー? どんな写真? 」
私は彼が開いていたスマホを覗き込む。
ほどよくアルコールが回りリラックスしていたのか、彼が身体を寄せたことに対してそれほど緊張を感じなかったが、ふんわりと彼の甘い香りがした。
『 んーと… これこれ 』
アルバムの中から、一枚の写真をタップする。
そこには私が写っていた。
ちょうど海の家でかき氷を食べている時の写真だ。
「 えっ… いつの間にー! 」
『 なー? やばくね? 』
彼は、ははっ と笑いながら私の顔を拡大する。何というタイミングの良さ、私はかき氷の冷たさに渋い表情をしている。
「 やだー!恥ずかしい!撮ってたの! 」
『 おー!だって やばくねー? 』
物珍しそうにケラケラと可笑しく笑う彼。
こんな表情見れたもんじゃ無い、と思った私は彼のスマホに手を伸ばした。
「 ちょっと 消してよー! 」
『 えー、 やだねー 』
華麗にひょいっと私の手を避ける遙。
「 いやいや、そんな写真は持ってちゃだめ! 」
遠のくスマホに手を伸ばす私。
『 やだねーー! 』
そんなやり取りが夢中に繰り返され…ー
気がつけば彼はソファに身体を倒し、私は彼の身体に跨るように上から彼のことを見下ろしていた。