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エメラルドの鎮魂歌
第5章 青い鳥の唄
若い男は切れ長の鋭い隻眼で、青山を胡散臭げに一瞥した。
郁未が慌てて、青山に若い男を紹介する。
「青山様、こちらは当学院の副院長の鬼塚徹です。
私の古くからの親友で、片腕的存在です。
…鬼塚くん、こちらは青山史郎様だ。
青山伯爵のご子息で、美術商をされていて長くパリに住まわれている。
今はパリと東京で手広く画廊を経営されている方だ。
僕の父とも旧知の仲なんだ」

鬼塚と呼ばれた男は、郁未の説明をきいても表情を変えることはなかった。
そして、青山の前に腕組みをして立ちはだかると、ぶっきらぼうな口調で尋ねた。

「で?お貴族様が藍に何の用件だ?一見してあんたと接点などなさそうなんだけど?」
郁未が慌てて遮る。
「鬼塚くん!そんな言い方はないだろう。
だから君は誤解されるんだよ」

鬼塚は鼻を鳴らして一笑に付した。
「俺はお前みたいな上品な家の出じゃあないんでね。
聞きたいことはさっさと聞かないと気が済まないんだよ。
…それに…藍の出生は訳ありだから胡散臭い奴には気をつけないとな…。
…それとも、お稚児さんにするつもりで面会に来たわけじゃないだろうな?」
「鬼塚くん!」
郁未が鬼塚の袖を引っ張り窘めた。

青山は愉快そうに声を立てて笑った。
「面白い男だな、君は…。
…そう。写真を見る限り、確かに藍くんはお稚児さんにしたいような美少年だ」
鬼塚の隻眼が鋭く細められる。
「何だって?」

青山は可笑しげに笑いながら、両手を上げる。
「まあまあ、落ち着いて。
私には少年愛の趣味はないんだ。青臭い子どもには食指は動かない。
…私は、篠宮家の執事に頼まれたのだよ。伊澤藍くんの見守りを…ね」

鬼塚の貌にやや安心したような色が滲む。
「…ああ、八雲さんか。
あんた、八雲さんと親しいのか?」
青山は真面目に首を捻った。
「親しいような親しくないような…。
けれどまあ、私は彼のアキレスの踵を知っているからね…。彼は私に一目置かざるを得ないのさ」

鬼塚は肩を竦め、不承不承納得したようだった。
しかし、一言釘を刺した。
「…なんだかよく分からないが、八雲さんの代理人なら仕方ない。
今、藍を呼んでくる。
けれど、面会は俺たちが同席してでないと許可はできない。今まで色々あって、藍は他人に会うのを極端に嫌うんだ。
…いいな?」



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