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エメラルドの鎮魂歌
第1章 罪と嘘のプレリュード
小一時間ほど瑞葉の歩行訓練をしたのち、西翼の子ども部屋に戻ろうと八雲は瑞葉を抱きながら廊下を歩いていた。
メイドや下僕たちが、慌ただしく廊下を通り過ぎる。

二階から降りてきた家政婦が八雲を認め、やや興奮したように近づいてきた。
「お生まれになりましたよ。男のお子様です。
早く奥様の寝室に行って差し上げなさい」

腕の中の瑞葉が嬉しそうに八雲を見上げた。
「八雲、おとうと?みずはのおとうとがうまれたの?」
八雲は瑞葉に優しく頷いた。
「はい。弟君のご誕生です。おめでとうございます」
瑞葉は小さな声で呟いた。
「あいたいな。おとうとに…。
お母ちゃまにもあいたい…」
臨月に入り体調を崩していた千賀子は、寝室に篭りっきりであった。
瑞葉はしばらく千賀子に会えていなかったのだ。

小さいながら、自分の境遇を薄々勘付いている瑞葉は決して我儘を言わない。
西翼の子ども部屋と中庭…限られた場所にしか自分の自由がないこと、母親と毎日触れ合えないことも悟っているようだった。
その瑞葉が珍しく、母親と生まれたばかりの弟に会いたいと言い出したのだ。
そのいじらしさに、胸が締め付けられる思いがした。

八雲は瑞葉をしっかりと抱き直すと微笑みかけた。
「それではお母様にお会いしにまいりましょう。
瑞葉様のお貌をご覧になったら、きっと喜ばれますよ…」

八雲は二階へと通じる大階段をゆっくりと昇り始めた。



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