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エメラルドの鎮魂歌
第13章 エメラルドの鎮魂歌 〜エピローグ〜
「藍、早く朝食を食べないと講義に遅れるぞ」
青山が扉をノックしたまま、藍のアトリエを覗く。
「…ああ、もうそんな時間?」
藍は絵筆を布で拭い、急いで立ち上がる。
「良い絵だな。…構図が斬新だし…ブルーがとても綺麗だ」
青山が藍の背後に立ち、腕組みをしながら熱心にキャンバスを見つめる。
「ありがとう。オペラ座のバレエダンサーを口説き落としてモデルになってもらった甲斐があったよ」
藍はほっと笑いを漏らした。

…日本からパリに移り、三年の月日が流れていた。
藍はコンセルバトワールの三回生に進級した。
青山は、戦前からパリにいくつか持っていた画廊を更に拡大しモナコにまで規模を広げ、商売は大成功を収めていた。

住まいは骨董と画廊の街、ヴェルヌイユ通りの瀟洒な一軒家である。
16区のオトゥイユ辺りにもっと広大で庭も広い邸宅を買うことも出来たが、カルチェラタンが近く、画学生が集まるこの街に居を構えたのは、ひとえに藍のためであった。
藍はコンセルバトワールでその非凡な才能を開花させ、今やフランス中…いや、ヨーロッパ中の画壇が注目する新進気鋭の画家として名を轟かせていたのだ。

「さあ、アンナのご自慢の蕎麦粉のクレープが冷めるよ。
食事にしよう」
青山は藍を引き寄せ、額に優しくキスをした。
「…愛しているよ、藍」
藍はそのまま背伸びして、青山の唇に軽くキスを落とした。
やや照れたように答える。
「俺もだよ。史郎さん」
青山の人好きのする魅力的な眼差しが甘く微笑んだ。



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