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エメラルドの鎮魂歌
第3章 禁断の愛の果実
「…貴方は悪魔だわ…!やはり貴方を雇うのではなかった…!美しいその瑠璃色の瞳に騙された…とんでもない悪党を私は子飼いにしていたなんて…!」
薫子はそれまでの気高さや品位をかなぐり捨てるかのように叫び出した。

ひんやりとした表情のまま、八雲は優雅に一礼をした。
「ご承諾、ありがとうございます。
大奥様の秘密は必ず守ります。
…もちろん、大奥様が私とのお約束を違わぬなら…の条件付きですが…賢明な大奥様でしたら、どうなさるべきか既にお判りでしょう」
美しい手を差し伸べて、薫子の怒りで震える手を取り恭しく口づける。
その手を邪険に振り払い、忌々しげに言い捨てる。
「早く出てお行きなさい!
異端児と悪魔、お似合いの組み合わせだわ!」

八雲は胸に手を当て、最後に静かに告げる。
「敬愛なる大奥様。最後にひとつだけご忠告を。
…今の貴女の愛人は、札付きのジゴロですよ。
火遊びもほどほどになさいませんと、和葉様が家督を継がれる頃には、当家の経済は破綻するでしょう。
どうか、ご安全に…」

八雲が部屋の外に出た瞬間、扉に何かが投げつけられる派手な音が鳴り響いた。

八雲はさも可笑しげに低く笑いながら、その場をあとにした。
…次なる目的を、果たすべく…。
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