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エメラルドの鎮魂歌
第4章 美しき森の虜囚
廊下から軽い足音が聞こえたかと思うと、客間の扉が押し開かれた。
「八雲!今、庭の楓の樹に栗鼠が来たよ…!
しかも親子の…栗鼠…!」

瑞葉が不意に青山の目の前に現れた。
蜂蜜色の輝くような金の髪、きらきらと光を放つ極上のエメラルドの瞳、透き通るように白い肌、紅い茱萸のような形の良い唇、白い繊細なレースの洋服は裾が長くまるで中世の姫君の衣装のようだ…。

思わず眼を奪われる青山を見て、瑞葉は小さく悲鳴を上げて、立ち竦んだ。
すかさず八雲が瑞葉に近づき、肩を抱き落ち着かせるように声を掛ける。
「瑞葉様、大丈夫です。青山様です」
「…青山…様…」
以前の出来事を思い出したのか、華奢な肩を撫で下ろし、ふっと息を吐いた。

「ご機嫌よう、瑞葉くん。
…相変わらず君はお美しいな…。いや、以前よりその美貌は輝きを増しているようだ」
鷹揚に歩み寄り、気さくに手を差し出す青山の手を、瑞葉はおずおずと握り返した。
「…ご機嫌よう…青山様…。
いらっしゃるとは存じませず…失礼いたしました…」
小さな声ではあるが、きちんと挨拶を返したことに青山は少し驚いた。
青山の持つ瑞葉のイメージは、幽閉された故に心を閉ざした寡黙な若者…だったのだ。

「大丈夫ですよ。どうぞ怖がらないで下さい。
私は貴方が歩けることを知る唯一の人間ですが、貴方の忠誠心の塊の美しき執事とは以前に約束を交わしました。
…つまり、私も同じ秘密を共有する共犯者という訳です。
ですから、私の前では自然な貴方でいらして下さい」

固唾を呑んで青山の言葉を聴いていた瑞葉の貌に、安堵したような綺麗な笑みが浮かんだ。
「…ありがとうございます。青山様。
あの、よろしければ、ご一緒に晩餐を召し上がりませんか?
…今日は八雲が鴨料理に腕を振るってくれるのです。
八雲は料理もプロ級の腕前なのですよ…」

そうして瑞葉は傍らの美しい執事であり恋人を熱っぽい眼差しで見上げたのだった。
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