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第1章 最強の女刑事

麻衣子は一人で署の覆面パトカーを運転していた。

連続レイプ事件の被害者の女性と会う為に被害者の自宅に向かっていたのだった。

麻衣子は独身だった。

男嫌いではない。

過去に将来を誓い合った男性もいた。

同じ警察官だった。

だが、事故に遭いそうになったこどもを助けようとして、自分が身代わりになって殉職してしまったのだ。

それ以来、麻衣子は独身を通してきた。

過去には何人もの男性から言い寄られたり、プロポーズされたり、親類縁者から勧められた見合い話も少なくなかったのだが、麻衣子は一切耳を貸さなかった。

しかも、将来を誓い合った男性の死は、麻衣子から笑顔を奪っていたのだった。

勿論、決して笑わないという事ではない。

ただ、周囲でめでたい事があっても、面白い事があっても、心から笑えなくなってしまったのだ。

そのお陰で麻衣子はアイスドールだとか、氷の美女などとありがたくもないあだ名を付けられていたのだ。

だが、当の本人はそんな事は気にもしていなかった。

自分が周囲からどう思われようが、どう評価されようが、そんな事はどうでもよかったのだ。

毎日のように起こる事件を一刻も早く解決し、市民に平穏な日々を送ってもらう事が自分の使命だと思っていたから。