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秘めた花は彼の腕の中で咲く
第12章 彼女の真似でもしてくれるの?

繁正さんが指差したのは、近所のスーパーのレジ袋。
普段だと30分で着く距離だが、今回はスーパーで買い出しをする時間を考慮して、篠宮さんには到着する時間を伝えてあった。

「帰ってからご飯作るんだ、俺もちょうどスーパーに行こうと思ってたんだ」
「あの…コレ繁正さんの為に買ったんです」
「えっ?」
「流石に社員に会うのに、自分の晩ご飯を先に買うのはありえませんって…」

でもいくら心配だからって、彼女でも無いのにちょっと繁正さんの生活に入りすぎかな…?

「お見舞いも兼ねて美味しいものを作りたいなって思って…でも、いきなり来られても迷惑でしたよね?」

「ごめんなさい」と頭を下げて去ろうとすると、腕を掴まれて繁正さんの方に向かされた。
繁正さんの頰が僅かに赤く見えて、照れ臭そうに鼻をかいてこちらを眺めていた。

「迷惑だなんて決め付けるなよ。俺の為に買ってきてくれたんだと思ったら、凄く嬉しいよ…」



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