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秘めた花は彼の腕の中で咲く
第12章 彼女の真似でもしてくれるの?

「本当は押しかけられて迷惑だって思ってるんじゃないですか?」
「いや違う!作ってくれるのは本当に感謝してるから…うん」
「だったら、大人しく座ってて下さい」

大人しく座ったのを確認し、調理に取り掛かる。

パックのご飯をチンしている間に、白だしとみりんと水を合わせ、鍋で煮立たせる。
煮立ったら、切った鶏肉と玉ねぎを入れて火を通し、卵を半分流し込み、半熟になったらもう半分を入れて余熱で固まらせる。

小分けになった白菜の浅漬けをお皿に盛り、フリーズドライの味噌汁を用意する。

「親子丼です。時間が無かったので、簡単なものになっちゃってすみません」
「いやいや、作ってくれてありがとう。いただきます」

スプーンで一口食べると、咀嚼しながら何度も頷く。

「うん、美味い。味付けが濃くなくて俺好み」
「本当ですか?良かったです」
「…君は食べないのか?」
「えっ?私ですか?すぐに帰るので大丈夫です」
「…もう帰るのか…?」



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