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scramble
第11章 栞
走り巡っている。
言わば無機質な空間と言う方が近い。
ドアの中央付近に細長い長方形の窓らしきものがあり、こちらを見通せるようになっていて、時折見張りにくるようだ。
衣服は全て脱がされていて一糸纏わぬ姿の彼女。
逃げられないようにだろう。
逃げても服を着ていなければ、そう遠くはいかないだろうと考えるのは犯罪者側の心理であろう。
栞からしてみれば、チャンスさえあればどうにか逃げおうせようと企んでいる。
例え衣服を身に付けていないにしても、助けを求めれば誰かしらが助けてくれるだろうとタカを括っている。
裸は恥ずかしいが、一瞬だけのことだ。
逃げれたら服を借りればイイ。
そんな栞の考えも時間がすぎる毎に気持ちが薄らいでいく。
もう逃げれないのかしら?
何が目的なの?
身体?それなら犯せばイイ。
何故何もやらない?
私をどうしたいのだろう?
何かしたならその理由を聞きたい。
態度が悪い?悪かったのか?
言葉遣いや言い回しに語弊があったのか?
私の何が至らない?
何が足りない?
自分を完璧な人間とは思わない。
だから日々努力しているのに。
段々とこの空間にいるだけで、いろいろな考えが渦巻いて纏まらない。
しまいに頭がおかしくなりそうになってくる。
部屋内は寒くも暑くもない。
ちょうどよい室内温度管理で調整されている。
1日3食の食事も与えられる。
しかも意外と豪華だからびっくり。
バランスの取れた栄養素の献立で賄われている。
私はこれでも栄養士の資格を持っている。
大学在学中に取って入社面談する際のアピールとして取得していたものだ。
ここにはテレビやラジオなど俗世間根の情報を得られるものは一切ない。
分かる事と言えば時折、外から船の汽笛が聞こえるくらいで港の近くだという事は分かる。
せめて衣服など羽織るものが欲しい。
もう恥じらいはないが何か着ていると安心する。

どうかね?女は。
は、先生。だいぶ落ち着きを取り戻しています。
衣服を要求して居ますが?
着せてやれ。そろそろよいだろう。仕込んであるか?
いえ、まだ全く。
君はここに来てどれくらいになる?
申し訳ありません。すぐに。
あとで部屋に通したまえ。
君。名前は?
はい。潗(いずみ)と申します。
服を脱いでしばらく入ってろ。
も、申し訳ありませんッ。以後気をつけますので。
早くしろ。
私はすぐに仕込んでおけと指示して


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