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第16章 天然ひまわり

 和香奈に星空の話をしているうちに気づかされた事がある。
俺がこの世で下心なしであれこれ世話を焼いたり、可愛いと思える唯一の存在は星空だけだ。
そこまで愛しいと思える存在を与えてくれた事に有り難いとすら思う。
生きているのすらしんどくて、自分さえ居なければ……と不貞腐れた事もあった。
だけどそんな思いすらも遠い過去の出来事に過ぎないと割り切れたのは、やはり夏帆さんが現れてから。


ーー


「夏帆さんがヤキモチを妬く感情すら無くなる辛い過去ってどんな過去なんだろ?」

 ポツリと呟く和香奈。

「さあね、俺は知らないけど、親父はそれを知っての再婚だと思う」

「だろうね。一緒になるって過去をひっくるめてそれを背負うって事なんだろうね?」

「そうなんじゃない」

 何も言わなくても伝わる。
和香奈は自分の過去ごと(光輝)の事をひっくるめて俺と付き合っているのかを確かめたいのだろう。
好きとか愛してるとか挨拶のように言葉にする男にはなれない。
そう思いながらも簡単に言えないからこそ、その言葉は深まる。
和香奈が楽になれる言葉は知っている。
そして、俺を物凄く思ってくれている事も知っている。
真っ直ぐな男ならその愛を確実なものにしていくんだろう。

 でも、どうやら俺は違うようだ……
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