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咲の旅物語
第16章 王都 ルアール
少年が気絶している間に咲はパパッと少年の体を洗い傷を直す。

少年の傷は酷いもので、鞭や棒と言っていたが中には刃物もあるようだ。

何日もろくな食事をしていないようで、体もガリガリに痩せ細り少し肌の色も悪い。

体力がない子は、急がないと危ないかもしれない。

そんな様子がみて取れた。

「これは酷いな…」

ディラも顔を歪める。
咲は念話でヘラ達を呼び戻した。少年は取りあえず、無闇に動かしたりしないほうがいいと判断したためだ。

しばらくしてヘラ達が戻ってくる。咲の説明に全員言葉が出ないで俯いていた。

「でね、わたしちょっと助けてくる。だから、この子お願い。」

ダイゴに目を合わせ、言うとダイゴは驚いたように一瞬目を見開くが力強く頷いた。

「任された。」

年長のダイゴと年齢の近いティナ。よく気のつくヘラが残ればここは大丈夫だ。

「ディラ…。」

咲が低く呟くとディラは無言で立ち上がり、咲を連れて転移した。

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