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咲の旅物語
第16章 王都 ルアール
ディラは不可視の魔法を解いて子供達に近づいた。

「その子を見せてみろ。
大丈夫。わたしはお前達を助けにきた。」

だが、子供達は怯え後退りする。

ディラはため息をはき、仕方なしに子供達の間から倒れた少女を転移させた。
何本も骨が折れて、命にも危険が迫っていたのだ。

「ややややめっっ」

震えながらやっと出したような声に目を向けると、子供達の中の一人が杭を掲げこちらを威嚇している。

とにかく治療をするため、少女を魔法で包む。

すると、みるみるうちに傷が完治していく。
威嚇していた子供達も目を見開いて、傷が綺麗になっていくのを見守っていた。

「ぅう…」

少女は小さく身動ぎし、意識は戻らないが呼吸が穏やかになる。

それを見届けたディラは、ホッと息を吐いた。

「もう、大丈夫だ。」

「お、お、おねぇさん。あ、あ、ありがとう。」

一人の少女が子供達の輪から出てきて少女の側に駆け寄る。

すでに子供達は杭を離し、少女へ次々と駆け寄った。

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