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第16章 王都 ルアール

「ルアールでここから逃げてきた少年に会った。」

ディラは子供達に近づかず一応言葉をかける。

ディラの言葉を聞いて、子供達は一斉に振り返った。

「カイが！カイは無事ですか？！」

その中の一人がディラに詰め寄る。

「ああ、あの子はカイと言うのか。無事だ。とにかく君たちは彼の元に送る。説明はそこで聞いてくれ。」

子供になれていないディラは、早口で言うと転移を発動しようとした。

だが、袖を捕まれひっぱられる。

「他に！他にも仲間がいるんです！父様も母様もいるんです！」

涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら見上げてくる。

ディラはぎこちない笑顔を向けるとその子の頭をなで

「連れが救出しているだろう。わたしももう少し探してみる。」

と告げた。

「あの…」

その時、子供達の中から声が上がった。

ディラが顔を向けると、先ほどディラが傷を治した少女が立っていた。

「気がついたか。」

「はい。ありがとうございました。あの…わたしも連れて行ってください。仲間の救出に…。」