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約束 ~禁断の恋人~
第1章  日常


 海は調理師としての面接に来た時に偶然僕を見かけ、一目惚れしたとの告白。
『最初から、朋也に近付きたかったんだ』と。
 養子縁組が決まった時は、
『オレ、身寄りないし、年下だからトモの籍に入るけど、絶対幸せにするから。命懸けで、トモを守るから』という海に、照れて笑ってしまった。
『何だよ。笑うなよ。オレ、マジだからな。約束する。絶対にトモを幸せにする』
 少し顔を紅くして、でも真剣に言ってくれた海。
『僕は、海と一緒にいられるだけで、幸せだよ』
 自分が言った言葉を思い出し、涙が出そうになった。
 海は目の前で生きているのに、目を開けることさえ出来ない。
 幸せにすると言ってくれたのに、こんなに呆気なく一人にするなんて……。
 装置が電子音で彼の鼓動を伝える。それに応えるように上下する胸に手を当てると、はっきりとした心音。
 海は生きている。
 彼は僕に、たくさんのことを教えてくれた。
 笑うこと、泣くこと。
 愛すること、愛されること。
 僕が今海にしてあげられるのは、一つしかない。
 小さく溜息をついてから、マンションを出た。



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