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約束 ~禁断の恋人~
第2章 決意
二人分の食事が揃い、ミネラルウォーターを出して食事を始める。
「食べて?」
僕の言葉に「いただきます」と答えてから、彼はフォークを動かし始めた。
海が僕の料理を食べるのは、何ヶ月振りだろう。彼は自然食品の方が好きだが、僕が用意した時は嬉しそうに食べてくれていた。
「美味しい?」
訊くと、無言で僕を見る彼に、現実を思い出す。
「ごめん……。気にしないで、食べて……」
“Z”に味は分からない。
有毒な物を匂いや味で判断する能力はあるが、感情が無いから、上手い不味いは理解出来ないと知っているのに。
黙々と食事を口に運ぶのを見ながら、自然に溜息が漏れてしまった。
後悔。なのだろうか……。
海に新しい命を与えたのは、間違っていたのだろうか。
今の僕は、その答えを出せるほど冷静じゃない。
でも、分かっている。彼は、海じゃなくて“Z”の“カイ”なんだ。
カイを見ながら、ゆっくりと温野菜を口に運んだ。