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約束 ~禁断の恋人~
第4章 現実
何が基準かは分からないが、彼の中には“格好いい”と“綺麗”があるらしい。
三歳だとある可愛い子役。満開の桜。函館山からの夜景。どれを見せても、フィーアに反応は無かった。
普通、可愛いや綺麗といった感想があるはず。
何が違うのか、僕には分からない。
父親について詳しく話そうと声をかけたが、そんな気も失せてしまった。
フィーアの口から自主的に出たのは、“綺麗”だけ。“格好いい”は、僕が先に口にしている。
「ありがとう。部屋で休んでていいよ……」
「分かった」
部屋へ戻っていくフィーアを見つめた。
どんなものでも、彼の中に基準がある。
格好いいと綺麗だけだが、探せば当てはまる物があるかもしれない。
フィーアは、僕を綺麗だと思っている。
褒められて嬉しいわけじゃなく、それは何かしらの感情が動き始めたということ。
食べ物や動物なら、別の感想も出るかもしれない。
動いてもいないのに、何故か鼓動が速まっていた。