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わがままな氷上の貴公子
第7章 不安
近付いて来た潤に抱きしめられ、自然と目を瞑ってしまった。
何なんだ?
この温もりが懐かしい。
たった一週間ほどなのに。
自分でも、どうしてか分からなかった。
「悠ちゃん……」
不器用な囁きの後、少し体を離した潤が体を屈めてキスをしてくる。
「んっ……」
今まで付き合った相手達とは、全く違う。
スケートが滑れないのに、アイスホッケー部に入ったり。やたらとオレに付きまとったり。挙句はウチを実家のように使ったりして。
舌が入ってきて、その動きに応える。
今までのヤツらは、本当のオレを知ると距離を置くように離れて行った。
でもこいつは、オレの全てを知っている。
“フィギュアスケーターの望月悠斗”としてではなく、普通の人間として接してくれていた。
どんどんオレの生活に入って来て、いつの間にか安らげる存在に……。
付き合っているヤツがいる時も、本当のオレを分かって欲しかった。その一方で、怖かった自分もいる。
潤なら、何も怖がらなくていいのかもしれない……。
ベッドへ促され、横になった。
すぐに潤が覆い被さってくる。
「お前、塔子は、いいのかよ……」
「エビちゃん? んー。帰ったら、怒られるかも」
突き飛ばそうとしたが、重くて動かない。
「塔子と付き合ってるなら、何でオレとヤれるんだよっ!」
「ん―……。エビちゃんには、内緒にしてくれる?」
潤は、困った顔をしていた。