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わがままな氷上の貴公子
第7章 不安
「何を……」
また腹が立ってくる。
オレとのセックスが秘密なのが男同士のせいじゃないなら、何だって言うんだ?
「エビちゃんね。漫画描いてるんだ。その手伝いに行ってたから。頼まれて」
「はあ?」
「賞に応募するから、急いでるって。千絵ちゃんも知らないんだって」
漫画……?
「絶対言わないでよ。エビちゃんに、怒られるから」
潤が塔子の家に通っていたのは、そのせいなのか。
秘密だから、千絵も知らない。そのせいで、千絵も潤と塔子の仲を勘繰っていた。
「俺が好きなのは、悠ちゃんだけだから」
「馬鹿、野郎……」
ホッとしている自分が不思議だ。
一度はセフレでもいいと思い、オレも欲求不満の解消になると考えていた。でも今、完全に好みのヤツから告られても、そっちへ行こうとは思えない。
「悠ちゃんも、俺が好きでしょう?」
「お前みたいな、でかいヤツに、目の前塞がれてたら……。他のヤツが、見えないだけだよっ!」
オレの精一杯の言葉を聞いて、潤がニッコリと笑う。
「悠ちゃん……」
見つめられながら、パジャマのボタンを外されていく。
こいつなら、もうオレのことを分かっている。
食欲に飽きれながらの食卓が、楽しかった。殆ど和子さんと2人だけだった生活が、潤が来るようになって明るくなった。
それが途切れ、自分でも分からないまま落ち込み、練習にも身が入らない。以前以上に、食欲がなくなってしまった。
それって……。
「あっ……」
舌が乳首に触れ、ピクンと体が跳ねる。
そんな間に、手際よく全裸にされてしまう。
オレが求めていたのは、安らげる相手。
もう、認めるしかない……。
「お前も、脱げよ……」
「待てないよ」
指が秘蕾に触れ、解すように動き始める。
それだけで、体が熱くなるっていく。
「んんっ」
潤に触れられているだけで、体が素直になってしまう。
挿いってきた指に、溜息が漏れる。
欲しかった刺激。
でも、セックスに飢えてたわけじゃない……。