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第6章 初体験

久しぶりに雅也に会えたのは高校に上がって直ぐの頃だった。
学校から帰ると玄関先に雅也の靴を見つけ、慌ててリビングに顔を出すと雅也と雅也のお父様と父が何やら難しい顔をして話をしていて私には気がつかない。
声をかけていいのかと考えていると、コーヒーを持った母が声をかけてくる。

「あらっ。彩羽おかえりなさい。」

「うん、ただいま」

母の後を追ってソファーに近づくと、雅也はいつもと同じ優しい笑顔で微笑んでくれたけど父は機嫌が悪そうだった。

「帰ってきたら声をかけなさい。お前はそれさえもできないのか！」

「……ごめんなさい」

父が怒るとその言葉しか言えない。
そんな私を見て、父は母がいれたコーヒーを飲んで大きな溜息をつき小言が始まった。

「高校になったら少しは成長するかと思えば中学の時と全然変わらないじゃないか！朝陽はもっとしっかりしていたぞ！名城家の人間と言う自覚がたり――」

「まぁまぁ、あなた。まだ高校生になったばかりなんですよ。彩羽もとりあえず座りなさい。」

ヒートアップする父を宥めた母は、父の横に座ることを進めた。
父の横に座り居心地が悪い思いをしがらも、目の前には雅也がいるからドキドキする。
目が合うと、にっこりと微笑むから益々ドキドキが大きくなる。
そんな私のドキドキを消すかのように父の小言は続いた。