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光を求めて
第6章 初体験

「雅也……」

あと少し……あと少しで唇が触れそうになった時、雅也は顔を背けた。

「穢れてる私とはキスもできない?でもね。こんな私にしたのは誰?こんな汚らわしい女にしたのは誰?」

雅也の頬に手を当てて私の方に向かせた。
その顔には涙が流れていた。
この涙はいったい何の涙なんだろう。
どうして彼は泣いているんだろう。

「雅也……私は誰?私はどうしてこんな女になってしまったの?」

追い打ちをかけていると分かっていても言わずにはいられなかった。
本当は大声で罵りたいのに、それとは反対に静かに言葉にする。

「ねぇ、雅也は幸せ?あの日から……雅也は幸せだった?」

涙で揺らぐ雅也の目を見つめながら聞いた。
だけど、雅也が言葉にすることはない。
ただただ涙を流しながら時間だけが過ぎていった。

「時間の無駄ね。相手してくれないのなら他を探すわ」

私は脱いだ服を着なおして部屋を出ていった。
今度は止められることはなく、今夜一緒にいてくれる人を探そうと繁華街に戻った。
だけど、いつものように探す気にはなれなくてゲンさんの店に足を向けた。

「いらっ、なんだ彩羽か。今日は遅いなっ」

ドアを開けると、ゲンさんがいつもと変わらない笑顔で迎えてくれた。
久しぶりに会っても、変わらない笑顔にホッとする。


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