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光を求めて
第7章 忌まわしい過去
カウンターの上にコースターを出したゲンさんに、裏に行きたいというと何も聞かずに通してくれた。
いつもの毛布に包まれてソファーに座って寂しさを紛らわす。
ゲンさんがいなくても、この毛布に包まっていると近くにゲンさんがいるようで安心できた。
それは幼い頃から大事にしていたぬいぐるみがあると安心する子供の様に、私にとってのぬいぐるみがこの毛布だった。
いつの間にか寝ていたようで、髪の毛を触られる感じがして目を覚ますと、目の前にゲンさんがいた。

「お店、終わったの?」

「ああ。人が少なかったから早めに閉めた……それよりどうした?何かあったか?」

目尻を下げながら心配そうに聞いてくれるゲンさんに抱きつくと、驚きながらも抱きとめてくれる。
その優しさに私は甘える。

「朝まで一緒にいて……」

「彩羽っ?」

驚いたゲンさんは私から身体を離して怖い顔をする。
その表情がおかしくてクスッと笑えた。

「抱いてとかじゃないの……ただ一緒にいてほしいだけ」

「そういうことか」

心底ほっとしたように表情を緩めた。
それから、初めてゲンさんのマンションに向かった。
知り合って8年経つのにゲンさんのマンションに上がるのは初めてで緊張する。
通された部屋は私と同じで色がなく、必要最低限しかない寂しい部屋だった。



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