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光を求めて
第7章 忌まわしい過去
「何か飲むか?」
ゲンさんは冷蔵庫の中を覗きながら聞いてくれたけど、ソファーに座って首を横に振った。
「そうか」
何もいらないと意思表示をしたはずなのに、暖かなココアを差し出された。
「何があったか知らんがとりあえず飲め。身体が温まると寝れるだろうさ」
湯気が上るカップを両手で握ると手に伝わる温度が心地よく、一口飲めば心の底から温まる。
私がココアを飲んでいる間にゲンさんはシャワーを浴びに行き、ひとりになれば色々な事を考える。
どうして今頃になって雅也は私の目の前に現れたのか。
どうして今頃になって私を心配するのか。
どうして……どうして……どうして……
そんなことばかりが頭の中に充満する。
考えても雅也の考えてることが分からず、モヤモヤは深まるばかりだった。
だけど私の事を心配すると言うことはあの人と……
「結婚してないのかな」
あの時、一緒にいる女と結婚を考えてると言っていた。
もし、結婚しているのなら私のことなど気にもしないはず。
やっぱり考えれば考えるほどわからなくなる。
あの時もそうだったけど、今でも私を苦しめて悩ませる。
憎いはずなのに……認めたくはないのに、会えたことに喜んでいる私がいた。