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光を求めて
第8章 知らないこと
「それにしても冷蔵庫の中を見たけどきれいにしてるね。ちゃんと自炊してるってわかるよ」
「一応はね。社会人になっても仕送りしてくれてるけどそれは使いたくないから節約のため。それより雅也は昔から料理してたっけ?今日の夕食おいしてくびっくりしたよ」
そう…
今日の夕食を見て驚くと共に疑問で、私より料理の腕は上だった。
「そうだね。家にいた頃はしてなかったよ。するようになったのは一人暮らしを始めてからかな?」
「一人暮らし???雅也が??」
まさか家を出て一人暮らしをしていたなんて知らなくて声を上げた。
それだけ私は雅也に無関心で……というより、あの日以来お互いに連絡も取らなかったし、雅也の事が私の耳に入ってくることがなかった。
雅也のご両親と仲が良かった私の両親でさえ雅也の家族とはかかわらなくなっていたから一人暮らしを知らなくても当然と言えば当然だった。
「いつまでも両親に甘えていてもね。さすがに家を出れば外食か自炊になってね。外食があまり好きではない僕は自然と自炊をするようになったって感じかな?もちろん経済的にも自炊がいいよね」
雅也の考えは私と同じものだった。
外食より自炊だし、自分のお給料だけで生活するとなれば節約は一番大事だと、一人暮らしをするようになって身に染みた。