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光を求めて
第8章 知らないこと
「苦労したんだ。でも雅也も兄のように家を継いだんでしょ?今は兄と同じで須藤コーポレーションの副社長??」
名城家を兄が継ぐように、雅也も須藤コーポレーションを継ぐことが決まっていた。
今まで何があったのか分からないけど、副社長ともなれば兄と同じできっと堂々と仕事をしているに違いない、そう思っていた。
「あ~……そういう話もあったね」
私の一言に雅也は何とも言いようのない表情をする。
その表情の意図が分からず首を傾げると、思いもよらない言葉を口にする。
「あの会社は――継がなかったんだよ」
「えっ??」
絶対に須藤コーポレーションは雅也が継ぐとばかり思っていたから、その一言は衝撃的だった。
だって、あれほど家を継ぐんだと頑張っていた雅也を知っているだけに信じられなった。
「驚くのも無理はないね。そのうちニュースになると思うから僕の口から言うけど……」
そこで一旦言葉を切った雅也は、一度深呼吸をしてから真っすぐに視線を私に向けた。
射貫くように見つめられてドキドキと心臓が早打ち息苦しくなる。
それは今から何を話されるのかと思う気持ちと、真剣に向けられる視線の両方にキドキしていた。