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光を求めて
第2章 もう一度信じたくて
いつものようにmaple‐メイプルに顔を出し、ハイスツールに座ると同時にコースターを差し出された。
お絞りで手を拭きながらコースターに書かれた文字を見て、店内を見回す振りをして窓際にいる男を見定めた。
それを知らなければ、誘われたらついて行きそうな甘いマスクの男。
だけどゲンさんがNGを出すからには裏があるんだろう。
コースターをひっくり返すと、その上にカクテルが置かれた。

「しつこかったら誰か呼ぶから……―――ほらゴミっ!美人さんが台無しだ」

ゲンさんは必要な事だけ耳元で囁き、ついてもないゴミを取ったふりをする。
それだけ警戒する相手なんだと思い、グラスを傾けながら私の心を満たしてくれる人を待つことにした。
飲みながら感じる視線は甘いマスクの危険らしい男。
どんな風に危険か気になるけど、危ない橋を渡るつもりはない。
その為のこのバーなのだから……
ゲンさんは私がここで男を探すことに何も言わない。
というか、この場所を提供してくれたのはゲンさんだった。
偶然に出会ったゲンさんは、今では父親の様に……父親以上に私の事を心配し、嫌な顔をしながらも何も言わずに見守ってくれている。
あの時、ゲンさんに出会わなければ今の私はないと思う。
あれは……私が高校1年の暑い夏、あいつに裏切られ、そしてまた信じていた彼に裏切られ誰も頼れる人がいなくなった時、私はゲンさんと出逢った――


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