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光を求めて
第10章 本当の気持ち
「彩羽ちゃん、何か良いことでもあった?」
みんなの事を笑いながら見ていると、清香姉さんが隣に座って良い子良い子するように頭を撫でてくれた。
「すごく楽しそうに笑うから……こんなに穏やかに笑うの見たの初めてかも」
「それ俺も思った。ゲンさんの事は別に何か良い事あった?」
みんなに注目されると恥ずかしくて体中が熱くなり、手をパタパタ扇いで風をおくる。
「はははっ。図星だ。良い人でも見つかったかな?」
何で分かったの?と目を見開くと、分かりやすっとみんなに笑われた。
そんなに顔にでてるのだろうかと両手で頬を包んでいると、清香姉さんが誰か教えなさいよと肘でつついてくる。
こうなると白状しないと開放してくれないことは分かり切っていて観念するしかない。
ゲンさんには今度報告すると言ったけど、この視線に耐えられそうもない。
「すごく……大切な人が現れました」
それだけ口にすると、それでそれでとハイスツールをもって私の傍に近寄ってくる。
ゲンさんはカウンターの中の椅子に座り、2本目の煙草に手をだしてじっくり聞く体制に入っていた。
「色々あって……今は一緒に住んでます。あっ!!でも何もないですよ」
「キスも?」
「はい。キスもまだです」
「はぁ?何その男。一緒に住んでてキスもまだ?ヘタレなんじゃ――」
「清香!!黙って聞いてやれ!!」
清香姉さんが不満の声をあげるとすかさずゲンさんが窘め、清香姉さんは、はぁ~いと返事をしてから私の方に身体を向ける。