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光を求めて
第10章 本当の気持ち
「信用できるのか?その男は」
ゲンさんの問いに私ははっきりと答える。
「信じたいと思う。誰も信じられなかった私がもう一度信じてみたいと思った。ゲンさんが心配してくれるのも当然だと思う。けど……辛い時に傍にいて支えてあげたいって、彼が涙を流すなら抱きしめてあげたいって、そう思ったの。甘い考えなのかもしれないけど、私はもう一度彼を信じたい、信じて寄り添っていきたいってそう思った」
ゲンさんはいまだに眉間の皺を消すことはない。
私の言葉に黙り込んだゲンさんは、遠くを見ながら何度か煙草の煙を吐き出していた。
その間、清香姉さんたちは口を開かない。
何も喋らずゲンさんがどういう結論を出すのかじっと待っていた。
「彩羽……」
2本目の煙草を吸い終わったゲンさんは視線を私に戻し、真剣な表情を向ける。
「お前が決めたことにとやかく言うつもりはない。けどな、忘れるなよ。お前は俺のかわいい娘だ!もしその男がまた裏切ったりしたら俺が許さない。そしてその男を信用したお前の根性を叩きなおしてやる!」
「えっ??そこ?なんで根性をたたきなおしてやるになるのよ~~」
ゲンさんの言葉に清香姉さんが悲鳴をあげる。
「こいつはすぐに人を信じるんだよ。父親の俺が躾けないでどうする」
「あ~あ~、始まった、ゲンさんの超過保護!」
「何か言ったか?あっ?清香!!」
「いいえ~何も言ってませ~ん。歳だから幻聴が聞こえたんじゃないの?」