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光を求めて
第12章 甘い言葉
それからどうやってここまで来たのか覚えていない。
ただ帰らなきゃと思う気持ちだけで、いつもの帰る道をたどってここまでやってきた。
最終電車が来るまで5分。
金曜日の終電ということもあり、構内はほとんど人がいなくて寂しい空間だった。
時折り吹き込む風が虚しさ助長させ、嫌な事ばかり思い出す。
好きになった人に裏切られ、もう一度信じようと思った瞬間に裏切られた。
そして私の事を愛していると言ってくれていた人は、私の身体目当てだった。
ただ私は幸せになりたいだけなのに……
心も身体も癒され、暖かな腕の中で眠りたいだけなのに……
それされも許されない私の人生は生きている意味はあるんだろうか……
ホームの柱に寄りかかりながらぼんやりとそんなことを考えていると良からぬことが脳裏に浮かぶ。
目の前を電車がもの凄いスピードで通り過ぎていく。
その時に巻き起こる風に、心も体も全てを持って行って欲しい。
真っ暗な線路を眺めていると、暗い暗い線路が私を呼んでいる気がしてくる。
おいでおいでと見えない手が私を誘っているかのように私を呼ぶ。
その手に引き寄せられるかのように自然と足が進んだ。
一歩一歩……確実に呼び寄せられる……


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