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光を求めて
第19章 彼の想い

「いらっ……なんだ彩羽か、今日は早いな?」

18時を少し過ぎた頃、maple‐メイプルに顔を出した私を快く迎えてくれたのはゲンさん。

「うん。何か軽めのお酒作ってくれる?」

いつもの場所に座りながらオーダーすると、手際よく私好みのカクテルを作ってくれる。
私がアルコールが弱い事も知っているから、程良く作ってくれるお酒を安心して飲むことが出来る。

「相変わらずお客さんいないね」

「まだ6時だろうが。ほとんどの客は飯食ってくるだろうよ。で?お前は?何か食うか?」

「そうだね~。ゲンさんの作るチャーハンが食べたいな」

食べたい物をオーダーすると手際よく作ってくれる。
卵とハムとグリンピースだけのシンプルなチャーハンだけど、この店で一番のお気に入りメニューでもある。
香ばしい醤油の匂いが漂い出した頃、湯気が上っているチャーハンが目の前に差し出された。
どんな時だってこの匂いがすれば自然と食欲が湧く。
それはあの時から変わらない……
スプーンで口に入れれば醤油の風味が口全体に広がり笑顔になる。

「やっぱりゲンさんのチャーハンは絶品だね」

「そうか?そんなもんでよけりゃ、いつでも作ってやるよ」

カウンターの中の椅子に座って煙草に火をつけたゲンさんは当然のように言葉にする。


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