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光を求めて
第19章 彼の想い
「ゲンさん……」
「ん?何だ?」
煙を天井に吐きながらそっけない返事。
「そろそろ煙草やめたら?いい歳なんだし、自分の身体の事考えなよ」
私の言葉に顔を歪め、わざとらしく煙を私の方に吐き出して馬鹿にするように舌を出して笑った。
「ねぇ、真剣に話してるんだよ?ちゃんと真面目に聞いてよ」
「聞いてるさ。けどな。習慣ってものは簡単には変わらんもんだ。今更やめられるか!」
少し怒ったように言い放った言葉に今度は私が顔を歪めた。
習慣は簡単には変わらない……
私が嫌と言うほど分かっている言葉だった。
高校生の時から毎日のようにやっていた行為が簡単に止められないし、一度止めたとしても中毒のように再発してしまう。
今だって止められているけど、これからの対話次第では同じことを繰り返してしまうかもしれない。
知らない男と一夜だけだと身体を重ねても何も解決しないと分かっていても、長年の習慣は簡単にはやめられない。
「どうした?何かあったか?」
静かになった私を心配するゲンさんの言葉に顔を上げると、いつもと同じ穏やかな視線が私に向いていた。
この優しい視線を受けながら、私は何度裏切り続けるんだろう。
何かあるごとに心配させ、説教をされ、それでも同じ事の繰り返しで嫌にならないんだろうか。