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第3章 ゲンさんとの出逢い

どのくらい繁華街を歩き回っただろう。
そろそろ公園にでも行って寝る場所を探そうかと思い始めた時頃、一人の男が横に並び私に寄り添ってきた。

「そのまま歩いて！」

小さい声で、それでも力強い声に顔をあげると知らない男が厳しい顔をして私の横を歩いていた。
怖くなり距離を取ろうとすると、腕を掴まれて強引に引き戻される。

「さっきから補導員につけられてる。このまま知り合いのフリしてあげるから歩いて――振り向かない！」

補導員と言う言葉に振り返ろうとすると低い声で静止され、男の言う通り歩くことにした。
補導員に捕まれば家に連絡されてしまう。
それだけは嫌だった。
あの家に……あの人がいた場所に戻りたくはなかった私は、知らない男の指示に従った。

「キミさぁ……ずっと繁華街を歩いてたよね。家に帰りたくないわけ？」

「……はい」

「そうなんだ、困ったねぇ～……とりあえずは、あの補導員を巻こうか」

低い声で怖いイメージがあったけど、見ず知らずの私を助けてくれたのだから案外優しい人かもしれない。

「ありがとう、ございます」

私の言葉に驚いた感じを見せた男は、次に瞬間にはフッと笑った。