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光を求めて
第3章 ゲンさんとの出逢い
「この辺りで長い事仕事してたらさっ、キミみたいな子いっぱい見るんだよ。家出した子とかさっ」
男の言葉に顔をあげれば、違う?と聞いてくる。
男の言うとおり私みたいな子がたくさんいる。
駅前に立っていると、会話をしなくても同じ目的で集まってきているのは嫌でも分かる。
それで泊まる場所とお金が貰えればラッキーだとみんな知っている。
私たちの身体は売れる。
それを私たちは身を持って分かっている。
「理由があって帰りたくないのに、補導員に掴まって嫌な場所に連れて帰られるのはかわいそうだと思うとさ。ついつい手を差し伸べたくなるんだよね」
「そんな風に思ってくれるのは嬉しいです」
大人でも私たちの味方がいる。
私たちが家出する理由がちゃんとあるのだと認めて貰えただけで、自分を認めて貰えたようでうれしかった。
「とりあえず俺の店に行こうか?女の子たちもいるから安心していいよ」
「はい、色々とありがとうございます」
目の前のビルを指さされ、女の子もいるということに安心して男の後について行った。
エレベーターのボタンを押して待っていると、急に後ろから腕を握られ咄嗟に男の腕にしがみついた。
そして、耳に入った言葉に身体は硬直して動けなかった。