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光を求めて
第21章 繋り
「迎えに来てもらって悪かったね」
「お前のおやじさんの墓に行くんだから当然だろう?」
「それはそうなんだけどね。彩羽もありがとね」
「ううん。ずっとお墓参りに行きたいと思ってたから、誘ってもらえてうれしかったよ」
後ろに乗り込んだ雅也と会話をしながら向かうのは雅也のお父様のお墓。
おじ様が亡くなって、今まで一度もお参りに行っていない事を伝えると、毎年命日にはお墓参りに行っているからと誘ってくれた。
だから結婚と次期に子供が生まれる報告をしようと3人で行くことに決め、その為に仕事が忙しい中ふたりは帰って来た。
雅也の家を出発して1時間、海が見渡せる丘の上におじ様のお墓はあった。
さすがに大きなお腹で歩くのはしんどいけど、私の子供を抱くことを夢見ていたおじ様の為に優さんに手を引かれながら高台まで登った。
「この先が父のお墓なんだ。もう少しだから頑張って」
雅也にも励まされながら足を進める。
少し歩けば目の前に広がる青い海に目を奪われ感嘆な声をあげた。
「父はここがお気にいりだったんだ。自分が死んだらここに墓を立てて欲しいって冗談で言ってたことがあってね。それがこんなに早く現実になるとはね」
少し寂しそうに話す雅也の背中に手を当てて撫でると、寂しい中にも笑顔を向けてくれる。
いつもだったら他の男に触るなと怒る優さんも、今日の所は見逃してくるようで何も言わなかった。