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光を求めて
第21章 繋り
「あの時、最後に彩羽に会えて父さんは幸せだったと思うんだ。ずっと、僕以上に苦しんでいたからね。自己満足かもしれないけど彩羽に謝罪の言葉を言えて少しはホッとしたんじゃないかな?それにね。僕と一緒にっていうのが嬉しかったみたいなんだ。今が幸せならそれでいいと、穏やかな表情をして言っていたからね」
雅也は懐かしそうに当時の事を話してくれる。
だけど私が手を取ったのは雅也ではなく優さんで、その報告に行くのだから何となく気まずい。
「おじ様、怒らないかな?違う人連れてきて」
「彩羽が悩むことじゃないよ。相手が僕じゃなくても彩羽が幸せなら父さんは喜ぶと思うよ。それに、父さんは優の事も知ってるしね。その優が彩羽の相手なら喜んでくれるよ」
優しく頭を撫でた雅也は歩き出し、その後ろを追う。
「優さんもおじ様と仲がよかったの?」
「そうだな。高校の時は良く家に遊びに行ってたからな。早く二十歳になって酒を付き合えと良く言われてたっけな。それも実現しないまま終わってしまったがな」
雅也と同じで優さんも寂しそうに言葉にする。
優さんはおじ様とお酒を飲むことができなかった、私は子供を抱かせることができなかった。
お互いにおじ様に対して心残りが残っていた。