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光を求めて
第22章 光に向かって
「彩楓(あやか)、どうしたの?」
チャイルドシートの上でぐずる愛娘の身体を撫でながら、一向に泣き止まない彩楓が心配でたまらない。
「ここ最近の彩楓は良くぐずるな。あと15分ぐらいで到着するが大丈夫か?」
「うん。熱はないみたいだから機嫌が悪いだけだと思う」
「そうか。だったら何かあったら直ぐに言えよ。車を停めるから」
バックミラーで私たちの様子を確認しながら優はアクセルを踏んで目的にも向かった。
会いに行くと決めたのは私なのに、近づけば近づくほど不安で私の心は押しつぶされそうになる。
「もう泣かないでよ……お願いだから……」
一向に泣きやまない彩楓に声をかけながら自分に言い聞かせる。
それでも私の心が不安から解放されることはない。
このまま彩楓の具合が悪いからと嘘をついて帰ろうかと考えているうちに車は進み、優が言ったように15分ぐらいで目的に到着した。
渋々車から降りると、春だというのに強い日差しが降り注ぎ、手を翳しながら空を見上げた。
20年前も……こんな風に晴れ渡っていたんだろうかと、当時のことを思い浮かべるとブルっと身体が震えた。