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光を求めて
第22章 光に向かって
「ゲンさん、今までありがとう……ずっと傍にいて私を支えてくれてありがとう」
改めてお礼の言葉を口にする。
あの日から、偶然私を見つけてくれたあの日から、ゲンさんは私を娘の様にかわいがり心配してくれた。
ゲンさんにとっては親友の娘だったからかもしれないけど、ゲンさんに出会っていなければ、この幸せな時を過ごすことができなかったと思う。
「気にするな。お前の成長を見られて、俺の方こそ救われた。楓が死んで……こんな風に笑えるなんて思ってもいなかったからな。それに名城さんとも元に戻れるとは思ってもいなかった。彩羽のお陰だよ。ありがとな」
そう言って、いつものように笑って私の頭をワシャワシャと撫でてくれた。
それが嬉しくて、私はゲンさんと腕を組んで寄り添った。
「本当にありがとう。ゲンさん……ううん、パパ?これからも私と彩楓共々よろしくお願いします」
パパと呼べばゲンさんは照れくさそうに笑った。
そんな私たちをみんなが優しい瞳で見守ってくれている。
「料亭を予約していますから行きましょうか」
母が声をかけると、ゲンさんは逃げるように私の腕を離して歩き出した。
その後ろを追うかのように、それぞれが歩き出す。
その後ろ姿を見ながら私は思う。