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光を求めて
第22章 光に向かって
―…
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楓ちゃんに伝えたい想いを伝えて立ち上がり振り返る。
そこには、父と母、ゲンさんに雅也、そして私の一番愛する優が優しい微笑みで私を見守ってくれていた。
「話しはできたか?」
ゲンさんが心配そうに私に寄り添ってくれる。
「うん。ありがとうって伝えた。この子の、彩楓の為に頑張って生き続けるって伝えたよ」
そう言葉にすると、ゲンさんは顔をクシャクシャにしながら一粒の涙を流した。
「そうかっ。それを聞いて楓も安心しただろう……ありがとな」
ゲンさんの涙につられて私も涙が浮かび上がる。
それを必死に堪えてゲンさんに笑顔を向けた。
ここに来る事がとても怖くて、お墓を見てしまうと現実を突きつけられそうで怖かった。
私の身代わりになった楓ちゃんから責められるんじゃないかと思うと怖くて眠れない日々を過ごしてきた。
だけどここに来てみれば違った。
自己満足なだけかも知れないけど、楓ちゃんが微笑んでいる様に感じ、あれだけ恐怖だった気持ちも今はない。
私の分まで頑張って生きて……と、そう言っているような気がしている。
それは楓ちゃんがゲンさんの娘だから。
ゲンさんはそういう人だから、その血を分けた娘の楓ちゃんもきっと同じだと分かる。