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微睡みの中で
第5章 新学期


夏休みも残り少なくなって、手をつけていなかった課題のことを思い出した。
祭の日から沙耶香からの連絡はひとつも来ていない。


瑞貴に泣きつくと、この時期たまに家に来ている直人に教えてもらうように言われた。
直人の「鬼畜眼鏡」な一面を垣間見て、顔面蒼白になる俺に対し、瑞貴は自業自得だと笑った。


ヒィヒィ言いながらなんとか課題を終えた俺の元に翔馬が泣きついてきたので瑞貴と同じことを言ってやった。


そして無事に新学期を迎えて数日経ったある日。
皆が進路の話を頻繁にするようになる中、俺らはいつもと変わらない雰囲気で日々を送っていた。


「最近さあ」


「ん」


「莉奈ちゃん見ないな」

翔馬が俺の机に腰掛けてそう言ってきたので、ついギクリとしてしまった。
浩太と拓哉も、確かに、と同意するような表情で俺を見ている。


「あっ、あぁ…喧嘩しちゃってさ。来づらいんだよ!」


「ふーん…喧嘩ねえ。…まっ、とにかく飯行こうぜ」


適当なパンと飲み物を買って昼食を摂ったあとの教室に帰る途中。


突然翔馬が立ち止まった。


「わり、俺ちょっと聡と小便。お前ら先戻ってて」


「は?」


2人は手を振って教室に戻って行った。
唐突な連れションを怪訝に思っていると、俺の腕を引っぱって歩き始めた。


なんだコイツ、よっぽど漏れそうなのか?しかしなんで俺なんだ。


しかも、向かった先はトイレでは無く外の人気の少ない場所だった。
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