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微睡みの中で
第5章 新学期
「どうしたんだよ」
「お前莉奈ちゃんとなんかあっただろ」
いつもおちゃらけてるくせに、珍しく真面目で、落ち着いた声だった。
こういう時だけやたら敏いやつなんだ、こいつは。
「別に…」
「あいつらにはあれでやり過ごせても俺からしたらバレバレだよお前。夏休みの初めに莉奈ちゃんと帰ってくまでは仲良かったし。夏祭りにも本当はあの子と来る予定だったはずだろ。相当でもねえ限り、お前らならすぐ仲直りしそうなんだけど」
「いつからそう思ってたんだよ」
「祭の時から。本当は会った時に尋問してやろうとおもってたけど、あの時は既に沙耶香さんがいたから黙ってたんだよ」
鋭い目付きで俺を見つめている。
…あぁ。
翔馬にだけは隠せないか。
少し気が重いが俺は叱責を受けるのを覚悟で口を開いた。