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微睡みの中で
第5章 新学期
あいつが莉奈のことを好きだったとは。
悪い事をしたな…、いや、そうじゃないだろ。
確かに悪いことはした。
けどこれからは翔馬のことを応援しよう。
…ふと、沙耶香のことを頭にうかべる。
顔もスタイルも、性格も所作も、俺にとってはかなりの理想に近い女性だ。
行為の途中、愛しく感じることはあれど、それはただ可愛いものを愛でる時の感覚に似ていた。
手に持ったままのスマホの画面に映る、今しがた届いた沙耶香からのメッセージを開いた。
『今度の土曜日、会えない?相談があるの』
たったそれだけ書かれていた。
相談に乗るだけなら別に構わないし、とりあえずOKした。
その週の土曜日、俺は沙耶香の所へ向かった。
場所はうろ覚えだったので、分かり易いところで待ち合わせをしていた。
あたりをキョロキョロと見回していると、後ろから聞き覚えのある声で「聡くん」と呼ばれ振り返った。
綺麗めなメイクを施し、スタイルの良さが際立つボディラインが綺麗に見えるタイトなワンピースを着た沙耶香が居た。
「どうも…。相談って?」
「ここじゃなんだし、お茶しながら話しましょう」
このあいだ入ったカフェに入り、沙耶香は頬杖をついた。
ふぅ、と窓の外を眺め、黙っていた。
何故か気まずかった。
「どう?調子は…っていってもたった数週ぶりなのだけど」
「え?あ、まあ…ぼちぼちかな」
「そう。良かったわ。私ね、実は告白されたのよ。会社の男性から」
注文した品が届くと、直ぐにそれを口にし、今度は俺をジッ…と見つめた。