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微睡みの中で
第5章 新学期

「高1の時、告白されてたろ。あの時振ったって聞いて、不謹慎だけどちょっとやった!って思ったんだ。失恋したところにつけ込めばきっと…なんて汚いこと考えて」


突然、翔馬がしゃがみこむ。


声も、肩も震えている。


「でも俺…っ、俺、その後お前らが空教室でヤッてるの見ちゃったし…あの時すげえ混乱して…聡は莉奈ちゃんのこと振った筈なのになんでって…何で皆聡ばっかりって…」


頭の中が真っ白になる。
中2のころから莉奈のことが好きで、その上俺に告白してきたのも知っていて。

しかも情事を見られていた…?


「…翔馬…ごめ…」


「…我慢してた俺の方が惨めになるから、謝るな。それに俺だって、お前に気づかれないように接して来たんだ。莉奈ちゃんがそれでいいならって、諦めてた。この様子じゃ、全然諦めきれてなかったみたいだけどな、馬鹿だな俺。どこ間違えたのかな」


深呼吸をして、少し乱暴に顔を拭き、いつもの顔に戻る翔馬。
鼻が赤くなり、目もまだ潤んでいたが、明るくニカッと笑った。



「そろそろ戻ろうぜ。あいつらには勘づかれないようにしないとな…それに俺だってお前とは友達でいたいから…」


「…あぁ」


「辛気臭い顔すんな!でももう俺、こうなったら我慢とかしねーから」


俺の背中をバシッと叩いて不敵に笑うと、スッキリしたように教室に戻って行った。
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