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微睡みの中で
第6章 気持ち
「…そうなんだ」
「ヤキモチ?」
「そりゃまあ、少しは?」
沙耶香が笑いながら、「良かった」と言った。
その言葉の深い意味はよく分からなかったけど、きっと俺は自分を超欲張りな人間と自覚した。
沙耶香が他人に取られそうになるのは嫌で、取られるなら自分が欲しいと思ったから。
衝動的だったのにも関わらず、情熱的なセックスをする前…一目見たときから、俺の目に沙耶香は魅力的に映っていた。
俺以外の男が、沙耶香に気があるのもおかしくあるまい。
むしろ彼氏がいないのがおかしいくらいだ。
「その人と付き合うの?」
「さあねえ…どうかしら」
その返事に少し複雑な気持ちを抱いていると沙耶香は子供のように飲み物をストローでぷくぷくと吹いていた。
時々俺を見つめてはストローを噛みながら白い歯を見せて笑う。
この人のこの余裕な態度はどこから出てくるんだろう。
「ねぇ、聡くん。私と試しに付き合ってみない?」
「…っ?げほげほっ」
余裕気な態度に振り回されまい、気を取り直そう。と飲み物を口に含んだ時、唐突にそれを言われて、盛大に失敗し、その様子を見た沙耶香がケタケタと笑っていた。
いくら夜を過ごした相手とはいえ、相手は兄よりも年上のお姉さんだ。
俺みたいなガキはには力不足だし、釣り合わない。
それに…ついこの間翔馬に釘を刺されたばっかりだ。